教科教育分野

1 分野の概略

 教科教育分野では,主に中等教育教員を目指す学生を対象として,教科の専門性の深い理解と実践に基づく授業力を育成することを目標とする。教科の授業力として,具体的には次の資質・能力を身に付けることを目指し,カリキュラムを設定している。

  • ア 教科内容に関する専門的知識・技能や思考力・判断力・表現力等
  • イ 教科の専門性を踏まえた教材開発力,授業構成力等
  •  ウ 教科内容の概念理解やつまずきに関する子ども理解力等

2 分野の授業科目名とその内容

必修科目が3科目,選択科目が4科目あり,授業科目名は次の通りである。

  • 分野必修科目
    • 教科横断的教育課程論(2)
    • 教科学習論(領域名)(2)※人文系,自然系,創造系
    • 教材開発論(教科名)(2)※国,社,数,理,音,美,保体,技,家,英
  • 自由選択科目
    • 教科内容論(教科名)(2)※同上
    • 教科指導論(教科名)(2)※同上
    • 教科内容演習A・B(教科名)(2)※同上
    • 教科教育専門研究A・B(教科名)(2)※同上

 上記のうち,特徴的な授業科目の概略を以下に示す。

【教科横断的教育課程論】

 10教科の教員とそれを統括する教員がオムニバス形式で行う授業で,自分の教科のみならず,他教科で育成する資質能力について理解を深め,教科横断的な視点に基づく教科指導力を身に付ける。

【教科学習論】

 10教科を人文系(国語,社会,英語),自然系(数学,理科,技術,家庭),創造系(音楽,美術,保健体育)の3領域に分けて領域ごとに行う授業で,それそれの領域固有の子どものつまずきとその要因について理解を深める。

【教材開発論】

 教科ごとに行う授業で,つまずきを克服したり,興味・関心を持たせたりする教材の開発力を身に付ける。

【教科教育専門研究A・B】

 教科ごとに行う授業で,教科内容から関心のあるトピックを選んで,教科内容に関する幅広い知識と教材研究を深めていく資質能力を身に付け,教科の専門性を高める。

3 課題研究の特色(各教科別)

(国語)

 学生の興味関心に応じて,探究テーマを設定して,指導教員の指導の下でテーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。

 探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 中学校国語科における語彙力育成に関する研究
  • 高等学校国語科における思考力の育成を重視した指導に関する研究
  • 課題解決学習における評論教材の開発
  • 言語文化学習における文学教材の開発

(社会)

 学生の興味関心に応じて,社会科・地理歴史科・公民科に関する探究テーマを設定して,指導教員の指導の下で,国内外を問わない関連文献の精査や,フィールドワークをはじめとする様々な調査を生かして,探究テーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。

 現段階で想定される探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 社会科における子どもの資質・能力の育成の方法
  • 社会科における教科観の創造
  • 社会科におけるカリキュラムの内容構成の原理
  • 社会科における社会的見方・考え方の形成を目指す単元の開発
  • 社会科における人文・社会科学的アプローチに基づく学習の導入
  • 市民的資質の育成を目指す教育における社会科授業のモデル化

(数学)

 学生の興味関心に応じて,探究テーマを設定して,指導教員の指導の下でテーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。

 探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 中学校数学科における数学的モデル化に関する研究
  • 高等学校数学科における統合的な考え方の育成を重視した指導に関する研究
  • 関数指導における小学校・中学校のつながりに関する研究
  • 課題学習における幾何教材の開発 ~公理から始める幾何学~
  • 理数探究における代数教材の開発 ~整数論における未解決問題~

(理科)

 探究テーマを設定して,指導教員の指導の下でテーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 中学校理科におけるSociety5.0に応える理科授業の理論と実践に関する研究
  • 高等学校理科における主体的な学び,対話的な学び,深い学びが創生される指導モデルに関する研究 (物理領域,化学領域,生物領域,地学領域)
  • 理科指導における小学校・中学校のつながりに関する包括的研究
  • 物理・化学・生物・地学と数学工学を包含した領域横断的な課題探究型学習の開発
  • 日本と諸外国の比較を基にした21世紀型資質・能力の比較と日本モデル創生

(音楽)

課題研究の特色(音楽)

 音楽分野では,音楽教育や音楽実技(ピアノ・声楽・和楽器・作曲)から学生の興味関心に応じた探求テーマを設定し,指導教員の指導の下で課題研究報告書をまとめます。

 探求のテーマの例として,以下のようなものが挙げられます。

  • フースラーの理論に基づいた歌唱指導法の研究
  • 音楽科授業における変奏曲の有効性
  • 合唱曲におけるピアノ伴奏の重要性 〜歌詞との関係に着目して〜
  • シラブルを応用した管楽器指導法の開発 〜倍音を指標とした音響分析方法を用いて〜

(美術)

 学生の興味関心に応じて,探究テーマを設定して,指導教員の指導の下でテーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。

 探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 中学校美術科における表現及び鑑賞の題材開発に向けた基礎理論の研究
  • 高等学校美術科における創造力と省察力の育成を目指した指導に関する研究
  • 表現と鑑賞領域における美術・デザイン題材の開発及び研究 ~創造的思考力の育成と活用~
  • 表現と鑑賞の一体化を意識した題材開発及び指導内容に関する研究

(保健体育)

学生の興味関心に応じて,探究テーマを設定して,指導教員の指導の下でテーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。

 探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 中学校・高等学校保健体育科における教科の見方・考え方を踏まえた教育内容・指導方法に関する研究
  • 中学校・高等学校保健体育科における教科の特性・専門性(運動種目等)を踏まえた教育内容・指導方法に関する研究
  • 体育学・運動学の深い知見を基にした生徒の身体・運動課題の発見とその解決方法の探究
  • 保健体育の教育実践の場で活用する教材の開発

 授業科目の特徴を,以下のように設定している。

【教材開発論】保健体育教育における理論と実践の統合を目指し,学習者が直面する学習上の困難を克服できるだけでなく,学習者の興味・関心を引きつけ,学ぶ価値のある教材を開発する力を育成する。

【教科内容論】学習指導要領に示された資質・能力を確認し,保健体育科教育学及び体育学・運動学に関するトピックを選んで教育内容を深く掘り下げ,資質・能力を具体化することを通して,単元でつけたい力を明確化する力量を育てる。

【教科指導論】保健体育科教育学及び体育学・運動学に関する指導法を調査し,それを教科の専門的な観点及び授業改善の視点から検討し,指導法を考案することで,つけたい力のつく指導法を構想する力量を育てる。

【教科内容演習】保健体育科教育学及び体育学・運動学に関するトピックに対して,教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせる活動を通して,資質・能力が高められることを自ら体験し,指導に活かす。

【教科教育専門研究A・B】 受講者の興味関心に基づいて保健体育科教育学及び体育学・運動学に関するトピックを選び,教科に関する専門性を高める。学習指導要領の改訂を中心とする教育内容の変更の意味を正しく理解し,教育実践を柔軟に修正できるよう,教科専門の力量を身につける。

(技術)

 学生の興味関心に応じて,探究テーマを設定して,指導教員の指導の下でテーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。

 探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 中学校技術科における木材加工教育の方法および木質教材の開発に関する研究
  • 技術教育における教材設計と評価に関する研究
  • 数学・理科・技術の統合的な探究力の育成を重視した幼小中高大ものづくり教材の開発および指導に関する研究
  • 中学校技術科教材における理科・数学概念の転移に関する研究

(家庭)

 学生の興味関心に応じて,探究テーマを設定して,指導教員の指導の下でテーマを追究し,課題研究報告書としてまとめる。

 探究テーマの例として,次のようなものが挙げられる。

  • 中学校家庭科における生活科学・生活文化・健康科学に関する研究
  • 高等学校家庭科における人間形成と健康科学に関する研究
  • 人間と環境に関する科学教材の開発〜安全と健康,文化について〜
  • 社会と家庭生活の生活課題解決に関わる教材の開発〜持続可能な生活と環境〜

(英語)

 英語科教育分野では,外国語の教授・学習に関する英語文献の講読等を通じて,実践を複眼的に捉え直すための理論的知識を深め,学習者の知識や技能,興味関心に合わせて質の高い授業づくりのできる奥行きのある指導技術を身につけることを目指しています。

英語科教育における単元レベル,カリキュラム・レベルでの教育内容・教材構成を理論的・実践的に学び,単元構想力を深化させると同時に,授業やカリキュラムを評価するための理論・手法を学び,授業力向上の基盤となる省察力を身につけることが期待されます。さらに,第二言語習得研究に基づく知見や統計処理やデータ分析を含む実証的な手法に基づき,直感にとどまらない科学的な研究方法を通して英語学習法・教授法を探る態度を身につけます。

 英語教育の現場で指導的な役割を担うにふさわしい4技能5領域のバランスがとれた高い英語運用能力を身につけるべく,幅広いジャンルの英語を読むこと・書くことやそれに基づくディスカッション等の活動を通じて,必要な英語運用能力をさらに高めることを目指します。

 課題研究においては,指導教員の指導のもと,学生の興味関心に応じた探究テーマが設定でき,英語科教育の諸課題に加え,英語学や英語文学・異文化理解など関連分野の発展的な知見を活かし,例えば意味や使用場面のつながりを意識した言語材料の導入や多様な言語体験を通じた主体的・協働的な学習といった,時代が求める英語指導上のテーマに応用する取り組みを行うことも可能です。